キャッチとは、ブレード(オールの先の平たい部分)を水に入れる瞬間のことです。 一漕ぎの始まりであり、ここで水を捉えられるかどうかで、 その一本の質が決まります。
絵で見るキャッチ

コーチのひとこと
体の準備は、リカバリーのうちに。シートが前に着いたときには「あとは入れるだけ」になっているのが理想です。
コーチのひとこと
合言葉は「強く」ではなく「静かに、素早く」です。ブレードが入ってから、脚で押し始めましょう。
図は右がバウ(進行方向)です。漕手はスターン側(左)を向いて座ります。よくあるつまずきを、絵で見分ける
キャッチで水しぶきが派手に上がるのは、強く漕げている証拠とは限りません。
左が目指す形、右がよくあるつまずきです。向きは上の連続コマと同じです。音でも確かめられます。ブレードが入るとき「ポチャン」と重い音がしたら、 入りが遅れているか、叩き込んでいます。「トッ」と短く小さな音で 入ったら、静かに掴めた一本です。
音なら、漕ぎながらでも自分で気づけます。文章でくわしく読む
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キャッチが難しいのは、止まって行う動作ではないからです。艇は進み続け、 体はシートの上で動き続けています。その中で「ブレードを入れる」と 「脚で押し始める」というふたつの動作を、正しい順番でつなぐ必要があります。 タイミングと姿勢が同時に問われる、一漕ぎでいちばん忙しい瞬間です。 だから、動きを分解して、ひとつずつ確かめながら作っていきます。

1. キャッチ
腕は伸びたまま。手を上げて、入れるだけ

2. ドライブ
脚から押す。腕で引くのはあと

3. フィニッシュ
体側まで引き切って、ブレードを抜く

4. リカバリー
手→体→脚の順で、ゆっくり前へ
一漕ぎは、4つの局面がつながったひとつの円。キャッチの良し悪しは、ブレードが水に触れる前にほとんど決まっています。 確かめる場所は、フォワードエンド(シートがいちばん前まで来た、 一漕ぎを始める位置)での体の形です。
- 腕— まっすぐ前に伸びて、肩の力は抜けている。ハンドルを握りしめない。
- 背中— 骨盤から前傾して、背中はまっすぐ。丸めて遠くまで届かせようとしない。
- 脚— 深く曲がって、いつでも押し出せる状態。力を出すのは腕より先に脚。
この形ができていれば、キャッチですることは 「手を少し上げて、ブレードを水に入れる」だけです。 体を前に投げ出したり、腕でかき込んだりする大きな動作はいりません。 リカバリー(ブレードが水から出て、次のキャッチへ戻るまでの区間)のうちに 体の準備を終えて、シートが前に着いたときには 「あとは入れるだけ」になっているのが理想です。
順番は、陸上 → エルゴメーター(ローイングマシン)→ 乗艇(実際に艇に乗って水の上で行う練習)。 いきなり水の上で全部をやろうとせず、確かめる項目をひとつずつ増やします。
- 01
陸上で順番をなぞる
鏡の前などで前傾の姿勢を作り、「手を上げる → 脚で押す」の順番をゆっくり繰り返す。腕でかき込む動きが先に出ないことだけを確認する。
- 02
エルゴで、低いレートで通す
レート(1分間に漕ぐ本数)を落として漕ぎ、脚 → 体幹 → 腕の順番を崩さないままフォワードエンドの形に戻ってこられるかを見る。目安は下の値を参考に。
- 03
乗艇でロールアップをする
ロールアップは、リカバリーの途中で早めにブレードを立てて(スクエア)、水面すれすれに構えてからキャッチに入るドリル。「立てる → 入れる → 押す」の順番を、落ち着いた水面でゆっくり確かめる。
spm はレート(1分間に漕ぐ本数)の単位。値は一般的に語られる目安で、艇や体格、クルー、指導方針によって変わります。速さより丁寧さを優先しましょう。キャッチの合言葉は「強く」ではなく「静かに、素早く」です。 ブレードを水に入れてから、脚で押し始めます。 この順番が守れたとき、ブレードは水を「掴んで」います。 掴む前に引き始めると、ブレードは水面の近くを滑って、力が艇に伝わりません。
自分で確かめる手がかりは「音」です。ブレードが水に入るとき、 「ポチャン」と重い音がしたら、入りが遅れているか、叩き込んでいます。 「トッ」と短く小さな音で入ったら、静かに掴めた一本です。 音なら、漕ぎながらでも自分で気づけます。
タイミングの理屈: 艇は前に進み続けているので、ブレードから見ると、 水は止まっていません。しかもキャッチの瞬間は、一漕ぎの中で艇が いちばん減速している局面です。入れるのが一瞬遅れるだけで、 ドライブ(脚、体幹、腕の順に力を伝えて艇を加速させる局面)の 最初のひと押しが「水のないまま引く」空振りになります。 だから世界で広く教えられているのは、「リカバリーの動きの延長で ブレードを入れ、入った瞬間に脚へつなぐ」という考え方です。
バックスプラッシュの見方: ブレードが入る瞬間、背中側 (バウ側=艇の進行方向側。漕手は進行方向に背を向けて座ります)に 小さな水しぶきが上がるのは、引き始める前にブレードが入ったサインとして よく使われる目印です。逆に、顔側(スターン側=艇の後ろ側)へ大きく しぶきが飛ぶなら、入る前に引き始めています。見え方は艇の速さや レート、風でも変わるので、指導者の目やビデオと合わせて確かめましょう。
次の練習で試せる一歩
覚えることが多く見えても、次の練習で試すのはひとつだけです。 漕ぎ出しの落ち着いた時間に、キャッチの音だけを聞いてみましょう。 「ポチャン」が「トッ」に変わったら、それが水を掴めた一本です。
まずは動きの順番を、一緒に確かめましょう。