こぎだし

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専門用語ミニ辞典 — 練習で聞く言葉を日本語と英語で引く

キャッチ、リガー、レート。練習では知らない言葉が次々に飛んできます。よく使う言葉をカテゴリ別にまとめ、日本語表記と世界標準の英語表記を併記しました。聞いたら引く、それだけで十分です。

・ 読了目安 6

机の上に開かれた白紙のノートと鉛筆、その上の虫めがね、後ろに立てかけた1本のオール。言葉を引いて覚える静かな机。

まず、この辞典の使い方

用語は「動作」「艇と用具」「艇種とクルー」「トレーニング」「レース」の 五つに分けてあります。上から順に読む必要はなく、練習で聞いた言葉を 探しに来る使い方で構いません。その中でも、最初の一週間で特によく 耳にするのは次の5語です。

まずこの5語だけ
  1. 1キャッチブレード(オールの先の平たい部分)を水に入れる瞬間。一漕ぎの始まり。
  2. 2フィニッシュブレードを水から抜く、一漕ぎの終わり。
  3. 3リガーオールを支える、艇の横に張り出した金具。
  4. 4エルゴエルゴメーター(ローイングマシン)のこと。陸での練習の主役。
  5. 5レート1分間に漕ぐ本数。

動作

一漕ぎの流れに沿って並べています。キャッチに始まり、リカバリーで次のキャッチへ戻る。この循環が漕ぎの基本単位です。

キャッチcatch
ブレード(オールの先の平たい部分)を水に入れる瞬間。一漕ぎの始まりで、技術の話題でいちばんよく出てくる局面。
ドライブdrive
ブレードが水の中にある間、脚、体幹、腕の順に力を伝えて艇を加速させる局面。
フィニッシュfinish
ドライブの終わりにブレードを水から抜くこと。一漕ぎの区切り。英語では release(リリース)と呼ばれることもある。
レイバックlayback
フィニッシュで上体を少しだけ後ろに倒した姿勢。倒しすぎないのが基本とされる。
ハンズアウェイhands away
フィニッシュのあと、握った手を体から前へ送り出す動き。リカバリーの最初の一歩。
ボディオーバーbody over
ハンズアウェイに続いて、上体を腰から前へ倒し終えた姿勢。ここまで用意してからシート(座席)を前へ動かすのが基本とされる。
リカバリーrecovery
フィニッシュから次のキャッチまでの、ブレードが水から出ている区間。次の一漕ぎの準備をする時間。
フォワードrecovery
リカバリーのこと。日本では「フォワードで焦らない」のように、この呼び方を使うチームが多い。世界標準では recovery(リカバリー)。
スライドslide
リカバリーでシート(座席)が前へ動く区間、またはその動きのこと。「スライドをゆっくり」のように速さの指示でよく使われる。シートが乗るレールの部分を指して使われることもある。
ハーフスライドhalf slide
シートを可動範囲の半分ほどまで前に出した位置。その位置までで漕ぐ練習や、スタート直後の短い漕ぎの説明で使われる。
フェザーfeather
リカバリー中に、ブレードを水面と平行に寝かせること。空気抵抗と水面への引っかかりを減らす。
スクエアsquare
ブレードを水面に対して垂直に立てること。キャッチの前に、寝かせていたブレードを起こす。
バランスset
艇が左右に傾かず、水平を保てている状態。クルー全員の姿勢とブレードの高さで決まる。「バランス」は日本で定着した言い方。英語圏では set(セット)と呼ぶ。
イージーオールeasy all
漕ぐのをやめる合図の言葉。合図が出たらクルー全員が同時に漕ぎやめ、ブレードをフェザーのまま空中で止めて、艇は惰性で滑らせる。英語圏の Weigh enough(米)などが近いが、止まり方の段階の切り方が違うため1対1の対訳ではない。空中のブレードを水面に降ろして休む2段目の合図を「イージー」と呼ぶチームもある。乗る前に自分のチームの言い方を確認しておくと安心。
腹切りはらきりcatching a crab
フィニッシュでブレードが水から抜けなくなり、オールに体を持っていかれるミス。初心者に限らず、誰にでも起こる。英語では「カニを捕まえた(catch a crab)」と表現する。「クラブ」と呼ぶチームもある。
尻逃げしりにげshooting the slide
キャッチでブレードが水を掴みきる前に、腰(シート)だけが先にスターン側へ動き出してしまうミス。上体や腕より先に腰が「逃げる」ため、脚の力が水に伝わらず加速が鈍る。海外の指導でも同じ現象が指摘される。フィニッシュで伸びすぎた(オーバーリーチ気味の)姿勢で終わると、次のキャッチで起こりやすいとされる。
キャッチで上体が起きるopening the back too early
キャッチの前後で、脚がまだ伸びきっていないのに上体を起こし始めてしまうこと。本来は脚→体幹→腕の順で力を伝えるところ、順番が崩れて脚の力を十分に使えなくなる。海外のコーチング資料でも、もっとも避けたい崩れの一つとして挙げられることが多い。リカバリー中に手を下げすぎることが引き金になる場合もあるとされる。
蹴り戻りけりもどりkicking before the catch connects
「強く漕ごう」と焦るあまり、ブレードが水に入りきる前に脚を蹴って漕ぎ始めてしまうこと。ブレードが水を掴みきらないまま蹴るため、空気を巻き込んでブレードが水中で滑り(スリップ)、力がスカスカと抜けてしまう。決まった英語の定訳は一つではないが、「ブレードを掴んでから蹴る」という同じ原則は海外の指導でも繰り返し強調される。
フライアップskying (the blade)
キャッチの直前に、ブレードが水面よりかなり高く舞い上がってしまうこと。リカバリー中に手を下げすぎ、キャッチ直前に慌てて持ち上げることで起きやすい。海外では skying(スカイング、スカイイングとも)と呼ばれる、よく知られた崩れ。ブレードが高い時間が長くなるぶんシートが先に戻ってしまい、脚を使える範囲が狭くなる。
シートラッシュrushing the slide
リカバリー(キャッチへ戻る局面)の速さが、ドライブ(漕ぐ局面)とほとんど変わらなくなってしまうこと。キャッチに早く着きすぎて、艇にぶつかるように入るか、不自然に間を置くことになる。クルー艇で艇の減速(チェック)がもっとも起こりやすい原因のひとつとされる。フィニッシュで手間取って遅れた分を、リカバリーで急いで取り戻そうとすることが引き金になりやすい。
サイド負け・蛇行さいどまけ・だこうuneven side pressure
クルーの片側(バウサイドかストロークサイド)の推進力が、もう片方より弱くなること(サイド負け)。その結果、艇がまっすぐ進まず左右に振れること(蛇行)。スカルでも、自分の左右の腕やオールの引く長さ・深さに差があると同じことが起こる。海外の指導でも、左右で引く長さ・ブレードの深さ・手の高さがそろっていないことが主な原因として挙げられる。艇やオールの調整(左右のピッチの違いなど)が原因のこともある。
ローリングrolling
艇が左右に傾き、揺れ続けてしまうこと。クルーの動きがそろっていなかったり、ブレードで片側を支えきれていなかったりすると起こる。「バランス(英語では set)」が艇の水平を保てている状態を指すのに対し、ローリングはその状態が崩れて左右に揺れる現象を指す。
ランrun
一漕ぎの間に艇が滑って進むこと。特に、リカバリー中に艇がすっと伸びる「伸び」を指す。漕いでいない時間にどれだけ艇を走らせ続けられるかは、リカバリーの質で決まる。「艇のランを伸ばす」「ランを感じる」のように使う。
チェックcheck
キャッチ(ブレードを水に入れる瞬間)の前後で、艇が急に減速する現象。体の進行方向を切り返すためにストレッチャーを押すことで起こるため、ゼロにはできないが、シートラッシュなどの崩れで何倍にも大きくなる。「ランの反対側」にあたる言葉。チェックの大小は、キャッチの瞬間だけでなく、そこへ戻ってくるリカバリー終盤の質で決まるとされる。
ウォッシュアウトwashing out
フィニッシュで水平に引き切れず、ブレードが水を洗いながら早く抜けてしまう崩れ。ドライブの途中でブレードが水から出てしまうことを指す場合もある。フィニッシュの白い水しぶきと音で見分ける。片側だけのウォッシュアウトは、艇の傾きや蛇行につながるとされる。
ディギングdigging
ブレードが深く入りすぎて、シャフト(オールの棒の部分)まで水に沈んでしまう崩れ。ハンドルの軌道が樽の上をなぞるように上下する、という見え方でも識別できるとされる。
オーバーリーチover-reaching
キャッチで、届く範囲より遠くへ伸びようとして姿勢を崩すこと。フライアップや尻逃げ、引きの短さの原因候補としてよく挙げられる。
タップダウンtap down
フィニッシュでハンドルを軽く押し下げて、ブレードを水から抜く動作。タップダウンが足りないままフェザーが始まると、ウォッシュアウトにつながるとされる。
レシオratio
一漕ぎの中の、ドライブとリカバリーの時間の比。リズムの指示や、リカバリーを急ぐ癖(シートラッシュ)の説明で使われる。
サスペンションsuspension
ドライブ中、ハンドルとストレッチャーに体重をぶら下げるように掛け続ける感覚。この掛かりが途中で抜けることを、ウォッシュアウトの根とする解説がある。同じ名前のエルゴのドリルもある。
クロスオーバーcrossover
スカルで、ストロークの途中に左右のハンドルが交差する位置。左手が右手の上になる関係を保てているかが、バランスを確かめる点として挙げられる。
フォワードエンドfront stops / forward end
シートがいちばん前まで来た、一漕ぎを始める位置。フロントストップとも呼ばれる。反対の、シートがいちばん後ろへ来た位置はバックストップ(バックストップス)と呼ばれる。
コールcall / command
コックス(舵手)が漕手に出す号令の総称。漕ぎ出し、停止、メニューの予告など、艇の上のやりとりはコールで進む。全国共通の決まりはなく、クラブ・水域・年代で言い方が違う。特に止まるためのコールは安全に直結するため、乗る前に自チームの言い方を確認する。
ストップ(艇止め)hold water / check it down
惰性で進む艇を止める操作・号令。ブレードをスクエアにして水中に入れ、水の抵抗でブレーキをかける。呼び名がもっとも割れるコールで、抵抗・ブレーキ・ホールド・ストップローなどの言い方がある。止まれるかどうかは安全に直結するため、最初の乗艇の前に自チームの言い方を確認する。
バックローback it / backing
スクエアにしたブレードで通常と逆向きに漕ぎ、艇を後進させる操作・号令。その場で艇の向きを変える回頭にも使う。バックロウとも書く。後ろ向きに漕ぐ練習はバッキングとも呼ばれる。
ちんcapsize
艇がひっくり返って、漕手が水に落ちること。経験の長さに関係なく誰にでも起きるものとして、各国の競技団体が対処の練習を勧めている。落ちたら艇から離れないことが、国内外の資料に共通する第一原則。競技艇は満水になっても、人がつかまって浮けるように設計されている。
再乗艇さいじょうていre-entry
沈のあと、水の中から自力で艇に乗り直すこと。シングルスカルでは、コクピットの横から上がるサイド・エントリーが基本形とされる。何度も試して消耗するより、艇につかまって救助を待つのも正しい選択のひとつとされる。安全な水域で一度体験しておくことが勧められている。

艇と用具

艇庫で毎日触れるものの名前です。「持って」「気をつけて」と言われる対象なので、早めに覚えると動きやすくなります。

オールoar
水をつかんで艇を進める長い棒。1本ずつ「オール」と呼ぶ。英語の paddle はカヌーなどの道具。ボートで漕ぐ道具は oar。
ブレードblade
オールの先端の、水をつかむ平たい部分。チームの色に塗られていることが多い。
ハンドルhandle
オールの根元の、手で握る部分。スカルでは左右の手に1本ずつ、スイープでは両手で1本を握る。
シャフトshaft
オールのハンドルとブレードをつなぐ、長い棒の部分。英語では loom(ルーム)とも呼ばれる。
スリーブsleeve
オールのシャフトのうち、クラッチ(オールを受ける留め具)に当たる部分を覆う樹脂のカバー。オールを守り、回転を滑らかにする。
カラーcollar
スリーブに取り付ける輪で、オールがクラッチの外側へ滑り出ないように止める部品。取り付け位置はリギング(艇のセッティング)で決める。button(ボタン)とも呼ばれる。
リガーrigger
オールを支えるために、艇の横に張り出した金具。艇を運ぶときには外すことが多い。
クラッチoarlock
リガーの先端でオールを受けて支える、口の開いた留め具。ピンという軸を中心に回る。「クラッチ」は日本で定着した呼び方。世界標準では oarlock(オールロック)。
ピンpin
クラッチ(オールを受ける留め具)が回転する軸になる、リガー先端の金属棒。リギングの寸法を測る基準にもなる。
ストレッチャーfoot stretcher
靴ごと足を固定する、艇の中の斜めの台。脚の力を艇に伝える要になる部分。
シートseat
漕手が座る、レールの上を車輪で前後に動く座席。「何番シート」のように、艇の中の座る位置を指す意味でも使う。
レールtrack
シートの車輪が乗る2本のレール。乗り降りのときに踏んだり、物を落としたりしないよう注意する場所。英語では slide(スライド)とも呼ばれる。
フィンfin
艇の底の後ろ寄りに付いた、まっすぐ進むための小さなひれ。壊れやすいので、陸上での置き方・運び方に注意がいる。日本の現場では「フィン」と呼ばれるのが一般的。海外の用語集や資料では「スケグ(skeg)」という表記もよく使われる(英語圏では fin と skeg はほぼ同じ意味で使われている)。
ラダーrudder
進む方向を変えるための小さな舵。コックスが操作するほか、コックスのいない艇では担当の漕手が足元のしくみで操作する。
バウbow
艇の進行方向の先端(船首)。いちばんバウ寄りに座る漕手のことも「バウ」と呼ぶ。
バウボールbow ball
バウの先端に付いている白いゴム製の球。ぶつかったときの安全のための保護で、レースでは装着が義務づけられている。
スターンstern
艇の後ろ側の端(船尾)。漕手は進行方向に背を向けて座るので、顔はスターン側を向いている。
ガンネルgunwale
艇のふちにあたる、上側の縁の部分。艇を持つとき、まず手をかけることが多い場所。英語の発音は「ガナル」に近く、gunnel と綴られることもある。
キャンバスcanvas
バウとスターンの近くにある、甲板になった部分。昔は布(キャンバス)張りだったことからこの名前。レースの着差の表現(「キャンバス差」)にも使われる。
シェルshell
競技用の艇そのものを指す言葉。薄い殻(シェル)のような船体からこう呼ばれる。
リギングrigging
オールの高さや角度など、艇のセッティング全般のこと。調整は指導者や先輩の指示のもとで行う。
コックスボックスcox box
コックスの声を艇内のスピーカーに届ける拡声装置。レートなどの数値が表示されるものも多い。製品名に由来する呼び名が一般化したもの。
ウマslings
艇を陸上で整備したり、一時的に置いたりするときに載せる折りたたみ式の台。「ウマに載せて」のように使う。英語では slings のほか trestles とも呼ばれる。
伴走艇ばんそうていcoaching launch
指導者が乗って練習に付き添うモーターボート。指示出しと安全の見守りの役割を持つ。「モーター」と呼ぶチームも多い。
艇庫ていこboathouse
艇やオールをしまっておく建物。練習の始まりと終わりに必ず立ち寄る、活動の拠点になる場所。
ダンパーdamper
エルゴメーター(ローイングマシン)の側面にある、1〜10の目盛りの付いたレバー。フライホイール(風を受けて回る羽根車)に入る空気の量を調節し、数字を上げるほど一漕ぎは重く感じられる。負荷の強さを決めるつまみではなく、変えているのは一漕ぎの感触。製造元のConcept2は自転車のギアにたとえ、出発点としてダンパー3〜5を勧めている。
ドラッグファクターdrag factor
エルゴメーター(ローイングマシン)のモニターが計算する、抵抗の効き具合を表す数値。漕ぎと漕ぎの間にフライホイールがどれだけ速く減速するかから求められる。ダンパーの目盛りが同じでも、機体の状態や環境で値は変わる。機体をまたいで条件をそろえたいときは、目盛りではなくこの数値を頼りにする。
コクピットcockpit
漕手が座る、艇のくぼんだ部分。その縁にあたる部分がガンネル。再乗艇の説明では、コクピットの横から上がる形が基本とされる。
キールkeel
艇の底の中心を、バウからスターンへ通る中心線。「キールの上でバランスする」のように、艇の傾きの基準として使われる。
バックステイbackstay
リガーを後ろから支える支柱。現行のシングルスカルでは標準になりつつある。バックステイつきの艇は横からの再乗艇がそのままではやりにくいことがあり、乗り方を指導者と確認しておくとされる。
ヒールリストレイントheel restraint
ストレッチャーの靴のかかとと艇をつなぐ、固定のひも。沈のとき、足が靴からすぐ抜けるようにするための安全装備。国際基準が求める安全装備のひとつで、出艇前の点検の対象。切れていないかを確認する。
救命具(PFD)personal flotation device
ライフジャケットなど、体を浮かせるための装備の総称。日本ローイング協会は浮力7.5kg以上のものを認め、練習時は携行を最低基準としている。着用するかどうかは水域ごとの安全ルールで決まる。

艇種とクルー

誰が、どこに、どう乗るか。クルー編成の話で出てくる言葉です。

スカルsculling
1人が左右1本ずつ、計2本のオールを持つ漕ぎ方。シングルスカルやダブルスカルがこの系統。
スイープsweep rowing
1人が1本のオールを両手で持つ漕ぎ方。ペア、フォア、エイトがこの系統。
シングルスカルsingle scull
1人で漕ぐスカル艇。記号は 1x。自分の漕ぎが艇にそのまま表れるので、練習の道具としてもよく使われる。
ダブルスカルdouble scull
2人で漕ぐスカル艇。記号は 2x。
クォドルプルquadruple scull
4人で漕ぐスカル艇。記号は 4x。「クォード」と略されることが多い。
コックスcoxswain
オールを持たず、舵を取ってクルーに指示を出す人。艇種の記号では「+」の付く艇に乗る。英語では cox(コックス)と略す。
整調(ストローク)せいちょうstroke
いちばんスターン寄りに座り、クルー全体のリズムを作る漕手。ほかの漕手は整調の動きに合わせる。世界標準では stroke。日本語の「整調」も広く使われる。
クルーcrew
同じ艇に一緒に乗る漕手(とコックス)のひとまとまり。「クルーを組む」のように使う。
ペアpair
2人で漕ぐスイープ艇。記号は 2-。2人の息合わせが、そのまま艇の進みに表れる艇種。
フォアfour
4人で漕ぐスイープ艇。コックス付きは 4+、コックスなしは 4- と表記する。
エイトeight
漕手8人とコックス1人、合わせて9人で乗る、もっとも人数の多い艇種。記号は 8+。
バウサイド・ストロークサイドbow side / stroke side
スイープで、自分のオールが艇のどちら側に出ているかを表す言い方。艇の進行方向を向いたとき右側がバウサイド、左側がストロークサイド。漕手は進行方向と逆(スターン側)を向いて座るため、漕手本人から見ると、バウサイドは自分の左手側、ストロークサイドは自分の右手側になる。「バウサイ」「ストサイ」と略されることが多い。英語圏では port(ポート) / starboard(スターボード)を使う国もある。
ポートサイド・スターボードサイドport side / starboard side
リガーの配置に依存しない、左舷(ポートサイド)と右舷(スターボードサイド)の言い方。スイープの標準リグでは右舷がバウサイド、左舷がストロークサイドにあたるが、バウサイド整調のリグでは逆になる。リグで変わらない言い方として使われる。
シート番号seat number
バウ側から順に数える座席の番号。エイトならバウが1番、整調が8番で、「3番」のように番号で呼ばれる。

トレーニング

練習メニューの説明で飛び交う言葉です。数字とセットでよく出てきます。

エルゴ(エルゴメーター)ergometer
漕ぐ動きを陸上で再現するローイングマシン。トレーニングと体力測定の両方に使う。英語圏では erg(アーグ)と略すことが多い。
レートstroke rate
1分間に漕ぐ本数のこと。「レート32」のように使う。「レイト」とも書く。spm(strokes per minute)やSRとも表記される。
spmエスピーエムstrokes per minute
レート(1分間に漕ぐ本数)の単位。「20spm」のように使う。エルゴメーター(ローイングマシン)の画面では s/m と表示されることもある。
スプリットsplit
500mを進むのにかかるタイムのこと。エルゴの画面や艇の速さの話で、速さの物差しとして使う。
ワットwatts
エルゴメーター(ローイングマシン)の画面に表示される、漕ぐ強さ(パワー)の単位。スプリットと互いに換算できる。
パドルfull pressure
力を込めて漕ぐこと。「フルパドル」「ライトパドル」のように、強さの段階を付けて使う。強く漕ぐ意味で使うのは日本の言い方。英語圏の paddle はむしろ軽く漕ぐ意味に近く、全力は full pressure などと言う。
UT(ユーティー)steady state
会話ができる程度の強さで、長い時間漕ぎ続ける練習。持久力の土台を作る。UTは英国のトレーニング区分 UT1/UT2(utilisation training)に由来し、日本では単独の「UT」として定着した。英語圏では steady state と呼ぶことが多い。
インターバルinterval training
強く漕ぐ区間と、軽く漕ぐ・休む区間を交互に繰り返す練習。心肺に強めの刺激を入れたいときに使われる。
乗艇じょうていon-water training
実際に艇に乗って水の上で行う練習。エルゴなど陸上の練習と区別するときに使う。
ピースpiece
距離や時間を区切って、レースに近い強度で漕ぐ練習のひとまとまり。「2000mピース」のように使う。
ドリルdrill
漕ぎの一部分だけを取り出して繰り返す練習。ハンズアウェイだけを行う、スクエアのまま漕ぐなど、目的に応じて多くの種類がある。全体の動作から一部分を取り出す練習という意味で「分習」とも呼ばれる。
2000mテスト2k test
エルゴメーター(ローイングマシン)で2000mを全力で漕ぐ体力測定。漕手の基礎体力の物差しとして広く使われている。「ツーケー(2K)」と呼ばれることが多い。
イーブン/ネガティブ/ポジティブスプリットeven / negative / positive split
測定やレースでのペース配分の呼び名。スプリット(500mあたりのタイム)を最初から最後までほぼ一定に保つのがイーブン、前半をあえて抑えて後半を上げるのがネガティブ、前半を速く入り後半に落ちていくのがポジティブ。唯一の正解の配分はないとされる。どの型が自分に合うか分からないうちは、イーブンから始めるのが安全だと複数の資料が示唆している。
フライ&ダイfly and die
序盤で目標を大きく超えて飛ばし、あとはひたすら耐えるペース配分。中盤で失速して後半はスプリットが目に見えて落ちていく、避けるべきとされるいちばんありがちな失敗。名前のとおり「飛んで、死ぬ」。前半が気持ちよく進むぶん、初めての漕手ほど引き込まれやすい。
強度配分(TID)きょうどはいぶんtraining intensity distribution
トレーニング全体の中で、低・中・高の強度をどのような割合で行うかという割り振り。時間・距離・セッション数のどれを分母に数えるかで数字が変わる。型の名前に、ポーラライズド型とピラミッド型がある。
ポーラライズド型polarized training
低強度と高強度に二極化させ、中強度をごく少なくする強度配分の型。レースシーズンの配分として典型的とされる。
ピラミッド型pyramidal training
低強度がもっとも多く、強度が上がるほど量が少なくなる強度配分の型。冬季や合宿の配分として典型的とされる。
テーパーtaper
レースの前に練習の量を減らして、調子を合わせていく調整。量を減らすぶん、レースに特化した強度の高い練習の割合を増やす、と説明される。
ファルトレクfartlek
速さを自由に変えながら、遊ばせるように漕ぐ練習。レース直前の、量を落とした期間のつなぎとして紹介されることがある。
積極的回復せっきょくてきかいふくactive recovery
完全に止まって休む代わりに、ストレッチや散歩などのごく軽い運動で回復を促す休み方。週に1日の休みを、完全オフの代わりにこの形であてる例が公開プログラムにある。
DPSディーピーエスdistance per stroke
一漕ぎ(ワンストローク)で艇が進む距離。レートを抑えてDPSを伸ばす、という練習指示が国内の資料に残っている。低レート漕の狙いを表す言葉。
チャボリjab row
止まった艇の上で左右のブレードを同時に抜き上げては落とし、腕の上下だけでバランスを保つ練習。短く刻んで漕ぐ操艇の動作を指す使い方もある。チャボリ・チャブロー・ジャブローと呼び名が分かれ、どれが正統ということもないとされる。英語圏では通じない可能性がある。
分漕ぶんそうrowing by pairs
クルー艇で、一部のポジションの漕手だけで漕ぐこと。残りの漕手はバランスを取る。ペアワーク・フォアワークとも呼ばれる。ウォーミングアップから技術練習まで、多くのドリルの土台になる進め方。
ノーフェザーsquare blade rowing
フェザーせず、ブレードをスクエア(立てた状態)のまま漕ぎ続ける練習。リリースの高さと、リカバリーのブレードの軌跡を確かめる。スクエア・ブレードとも呼ばれる。
振込みふりこみroll ups
止まった艇からリカバリーと入水だけを取り出して、ブレードをまっすぐ水中に置くところまでを丁寧に行う練習。ロールアップとも呼ばれる。
バディ・システムbuddy system
2艇以上で一緒に行動して、互いを見守る練習の運用。沈のときは僚艇(りょうてい。一緒に練習している艇)が横付けして、再乗艇を支える。各国の安全資料がそろって勧める形。単独で漕ぎに出るかどうかは、指導者と水域のルールで判断される。

レース

大会のプログラムや発表で出てくる言葉です。初めての大会の前に一度目を通しておくと安心です。

レガッタregatta
ボート競技の大会のこと。複数の艇がレーンに並び、着順を競う形式を指すことが多い。
エントリーentry
大会に出場を申し込むこと、または出場するクルーそのもの。「エントリーリスト」のように使う。技術の話題では、キャッチでブレードを水に入れる動きを entry と呼ぶこともある。
予選よせんheat
出場クルーをいくつかの組に分けて行う最初のラウンド。組ごとの上位が次のラウンドへ進む。
発艇はっていstart
レースがスタートすること。「発艇時刻」のように使う。時刻や合図の方式は大会によって異なるので、当日の案内を確認する。
レーンlane
レースで各クルーに割り当てられる進路。ブイで区切られていることが多く、発表された自分のレーンを守って漕ぐ。
ブイbuoy
レーンの境目などを示すために、コースに浮かべてある目印。
バウナンバーbow number
レースでバウに取り付ける番号札。どのレーンのクルーかを、審判や記録係が見分けるためのもの。
フライングfalse start
スタートの合図より前に漕ぎ出してしまうこと。あつかい(やり直しや失格の条件)は大会のルールで決まっている。
敗者復活戦(敗復)はいしゃふっかつせんrepechage
予選で敗れたクルーに、もう一度上位のラウンドへ進む機会を与えるレース。「敗復(はいふく)」と略される。repechage はフランス語由来の言葉。
決勝けっしょうfinal
順位を決める最後のレース。出場数の多い大会では、A決勝・B決勝のように順位の範囲ごとに分かれることがある。
艇身ていしんlength
レースの着差を表す単位で、艇1隻分の長さのこと。「1艇身差」のように使う。より小さい差は「半艇身」「キャンバス」などと言い分ける。
ヘッドレースhead race
1艇ずつ時間差でスタートし、かかったタイムで順位を決める長距離のレース形式。
軽量級けいりょうきゅうlightweight
体重に上限を設けた出場区分。基準の値や計量の方法は大会によって異なるので、出場前に大会要項で確認する。
アテンションattention
レースのスタートの合図。「アテンション」で構え、続く「ゴー」で漕ぎ出す。この形式が広まってから、練習の漕ぎ出しの合図に使うチームも多い。
パワー10パワーテンpower 10
決めた本数だけ、艇速を最大まで上げるスパートのコール。本数も強さの定義もクラブで違う。10〜30本程度で使われる、という整理の一例がある。
タイムトライアルtime trial
距離を決めて1艇(1人)ずつ計測し、タイムを比べるレース・測定の形式。TTと略される。エルゴメーターの2000mテストのような単独の計測漕にも、選考レース初日のランキング作りのレースにも使われる。
SBSエスビーエスSmall Boat Selection
シングルスカルなどの小艇(スモールボート)で行う、日本代表候補の選考レース。エルゴメーターの記録基準を満たした選手が参加する。U19では正式な大会名の略称、シニア・U23では大会名称そのもの(2026年度)。名称・形式は年度で変わるため、最新はJARA(日本ローイング協会)の公式発表で確認する。
IDTアイディーティーIdeal Time
JARA(日本ローイング協会)の強化委員会が種目ごとに定める基準タイム。レースのタイムをこの基準に対する割合(%IDT)に換算し、種目や性別をまたいだ比較と選考に使う。%IDTは100%が基準タイムちょうどで、速いほど数値が大きい。基準タイムは強化サイクルごとに見直される。

言葉に迷ったら

辞典に載っていない言葉や、チーム独自の呼び方に出会うこともあります。 そのときは、その場で「それはどういう意味ですか」と聞いて大丈夫です。 聞くことが、いちばん早く言葉を覚える方法です。先輩たちも 全員、同じ道を通ってきています。