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艇と用具の基本を知る — 漕げない顧問がまず押さえること
漕いだ経験がないまま顧問になり、艇庫(ていこ。艇やオールをしまっておく、活動の拠点になる建物)で何に触れていいのかも分からない。それが自然な出発点です。用具のおおまかな全体像と「壊れやすい場所」さえ知れば、艇庫での第一歩は踏み出せます。
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まず、これだけ
初めて艇庫に立つ日までに顧問が知っておくべきことは、多くありません。 次の三つだけ、先に押さえてください。
三つとも、詳しくなることより「壊さない・慌てない」を先に置いています。
艇と用具の、ざっくり全体像
ボートの漕ぎ方には二つの系統があります。スカル(1人が左右1本ずつ、計2本のオールを持つ漕ぎ方)と、スイープ(1人が1本のオールを両手で持つ漕ぎ方)です。チームの艇がどちらなのか、両方あるのかを選手に聞くところから 始めると、それ自体が会話の入り口になります。
日本の競技構造も知っておくと、選手との会話がかみ合います。 中学・高校の大会は、シングルスカル・ダブルスカル・舵手つき クォドルプルなどスカル種目のみで行われています (全国高等学校選手権大会などでは2001年に全種目がスカルに 統一されました)。ペアやフォア、エイトといったスイープ種目は、大学以上のカテゴリーから登場します。高校までスカルしか知らない選手が 大学で急にスイープに触れる、という進み方が一般的です。 自分のチームがどちらの段階にいるかで、出てくる艇種も変わります。
用具の名前は、まず四つで足ります。オール(水をつかんで艇を進める長い棒)。リガー(オールを支える、艇の横に張り出した金具)。ストレッチャー(靴ごと足を固定する、艇の中の斜めの台)。そしてシート(漕手が座る、前後に動く座席)。練習前後の選手たちの会話は、かなりの部分がこの四つのまわりで 起きています。
壊れやすい・危ない場所を知る
競技用の艇は、大人が数人で持ち上げられるほど軽く作られています。 軽さは薄さでもあり、船体は見た目より繊細です。修理には時間も 費用もかかります。顧問が覚えておく「要注意の場所」は三つです。
- フィン(艇の底の後ろ寄りに付いた、まっすぐ進むための小さなひれ。海外の資料では「スケグ(skeg)」と表記されることもある)— 艇を地面やウマ(艇を陸上で置くときに載せる折りたたみ式の台)に下ろすときに折れやすい、いちばんの要注意箇所です。
- リガーの出っ張り — 艇の横に張り出しているぶん、人や壁にぶつかりやすい部分。 もたれたり、体重をかけたりしないこと。
- レール(シートの車輪が乗る2本の細い軌道)— 踏んだり物を落としたりするとゆがみ、シートの動きに直結します。 艇の上に荷物を置かないこと。
顧問にまずできるのは「壊さない立ち位置」を取ることです。 運搬中の艇の進路に立たない、置いてある艇やオールをまたがない、 荷物を艇の上に置かない。 なお、艇の扱いにともなう安全の正式な基準は、学校や連盟、地域の 規定・講習にあります。この記事はその手前の、一般的な心構えとして 読んでください。
「知らない」と言ってから、一緒に覚える
漕げない顧問がいちばん損をするのは、知っているふりをしたときです。 選手は正確に見抜きます。逆に「先生も今日から覚える」と 最初に言ってしまえば、そこから先が楽になります。
おすすめの方法は、選手向けの記事を一緒に読むことです。「艇と用具の名前を覚える」は競技経験ゼロの新入部員向けに書かれているので、未経験の顧問の 最初の一歩としてもそのまま使えます。読んだあとに艇庫で実物を 指さしながら、選手に名前を教えてもらってください。
道具の管理で、顧問ができること
道具の状態を「記録が残る形」にすることは、名前を覚えるより先に 始められる、顧問ならではの仕事です。
顧問自身が不具合を見分けられる必要はありません。乗艇(じょうてい。実際に艇に乗って水の上で行う練習)の前後に選手が艇を見る時間を練習の流れに組み込み、気づいたことを 言葉にして残す仕組みを作るのが、顧問の役割です。
- 練習の前後に「艇を見る1分」を入れる
- 気づいたことをノートか共有の表に残す (いつ・誰が・どの艇の・どこに気づいたか)
- 判断に迷う破損や不具合は、無理に直さず、経験者や艇の販売店・ 製造元に相談する
記録があると、修理や相談は速く、正確になります。
